大海ロマン

もうすぐ夏icon01の土用の丑の日(今年は7月26日)。 土用の丑 といえばウナギですよね。

最近、またウナギの産地偽装がニュースになってますが、やはり国産ウナギに人気が集まるからでしょう。

台湾産や中国産などいろいろな産地がありますが、元になるシラスは同じなので(シラスは人工養殖不可のため)、本来は味の違いはほとんどないそうです。face08

しかし、養殖地によって肉質の感触はやはり国産のほうが食感が良いicon22 とされています。 ただ、天然ものと養殖ものはかなり違うそうですが、現在はほとんどが養殖ものです。

さて、土用の丑の日にウナギを食べる習慣についての由来には諸説ありますが、文政5(1822)年、当時の話題を集めた「明和誌」に収められている、讃岐国出身の平賀源内が発案したという説が最も有力です。

古くから日本の食文化に深い関わりを持つ魚ですが、川と海を行き来し、ある程度地上を這って移動するなど、その生態には謎が多くまだ解明されていないことがたくさんあります。

産卵場所は小笠原諸島の南、沖ノ鳥島の東に位置するマリアナ海溝の深度500mぐらいと予想されています。 ただ、まだ特定はされていないので、卵が孵化する詳しい環境がわかっていません。

そのあたりで生まれた幼魚は変態成長をしながら、海流にのって日本の河口に達します。 つまり、一度台湾方面に西へ流れ、その後黒潮にのって北上するという、迂回ルートをとります。

その距離、約3000km。 ほぼ半年かかります。face06

日本に到着した頃には、シラスと呼ばれる透明な5cm程度の幼魚になっています。 こんな幼魚の時代から、他の魚とは元気の度合いが断然違います! つまり滅茶苦茶元気で暴れるicon08ように泳ぐんです。

シラスはしばらく汽水で体を慣らした後、闇の大潮の日に一斉に川を登ります。 川の途中に滝があっても登っていきます。 どう登るのかというと、夜中に切り立った岩の溝を、ヘビのように這ってよじ登るのです。

鮭の遡上も感動しますが、まさに自然の驚異face08ですね!

こうして、上流のエサの豊富なところにたどり着いたシラスは、数年間そこで生活し、大きくなります。 通常5~10年して産卵期を迎えます。

ウナギの生涯にはロマンface05があるんです。 夏から秋にかけて産卵のために川を下り、海に出て、数千キロの旅に出ます。 大海ロマンです。

そのルートは来たルートのままに反対に泳いでいくのか、もしくは直線的に行くのかわかっていません。 なにせ海の沖を泳いでいるウナギを誰も見たことがないのですから・・・

いずれにしろ、無事産卵場所にたどりついたウナギは、光の届かない深海で産卵し、その一生を終えます。 このように、ウナギは一生の間に2度大きな旅をすることになります。

ところで、天然ウナギの資源が減ってきている影響で、我々が食べているウナギの99%以上は養殖ものです。 スーパーで天然ものが売られることはほとんどないし、ウナギ専門店でも天然であれば必ず表示しているはずです。

養殖は、河口にいるシラスを捕獲して、各地の養殖場で育てていきます。
シラスの人工孵化は、まだ研究室段階でしかできていません。

生まれてまもない幼魚の生活環境やエサがよくわかっていないのです。
研究室段階でも、エサについては苦労しているようです。

天然ものが大きくなるまで5年ぐらいかかるのに対して、養殖ものは1年程度で大きくなります。

ウナギにとって、幼魚のうちに途中で捕まって、養殖池の中で生活しなくてはならないのは残念なことでしょう。face06

しかし、養殖場では栄養のあるエサをたっぷり与えられます。 危険もほとんどありません。 つまり養殖ウナギは、太く短い人生ならぬ“魚生”を送ることになります。

いかがですか?

ウナギの生涯には物語があり、謎があり、ロマンface05があります。

どうです。 この話を知ってウナギを食べると、もっと元気になるような気がしませんか?  なにしろ 数千キロの旅に2度も出る、ウナギなのですから・・・


同じカテゴリー(季節)の記事画像
春近し
秋ですねぇ
上雪
淡雪 Part2
沫雪(あわゆき)
滑り止め
同じカテゴリー(季節)の記事
 梅雨です (2012-06-10 16:11)
 春近し (2012-04-11 12:07)
 秋ですねぇ (2011-10-02 13:38)
 快眠しましょ! (2011-08-15 17:11)
 七夕伝説 (2011-07-07 09:30)
 上雪 (2011-02-16 18:48)

Posted by 燐寸. at 2010年07月18日11:30

この記事のコメント

数千キロの旅といった海の大移動による魚のロマン
なども、昨今の環境異変や、近代化などで変化を
強いられているかもしれないですね

河口堰や、温暖化。日本の生態系は確実に
外来種などに浸食されてるし。うなぎはどうも
苦手です。息子はうなぎのタレをご飯にかけて
食べてます・・・・
Posted by 夢穂夢穂 at 2010年07月22日 14:19
>夢穂さん

河口堰には魚道も設けられてはいますが、やはり魚にとっては通りにくいでしょうね。

温暖化はかなり影響があると思います。
日本だけでなく、世界中で動植物の生態系が変わってきているようです。

うなぎのタレをご飯に・・・ 私もやりますよ。

うなぎもですが、あなごもおいしいんですけどね。
Posted by 燐寸燐寸. at 2010年07月22日 19:16

コメントを書く

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。